《債権回収の実態》融資を受けてる人は知っておくべき基礎知識

貸した側だけでなく借りた側も知っておくべき債権の回収方法

「差し押さえをされた」という話をよく聞きますが、消費者金融への借り入れにおいてマンションや土地などの不動産を抵当に入れられるケースはあまり聞いたことがありません。それでも強制執行、つまり財産を差し押さえされる可能性は十分にあります。ここでは、主に金融機関に限らず、法人が債権回収の実務としてどのようなことを行っているのかを知っておき、お金を借りている人は滞納によってどんなリスクがあるのかを把握しておきましょう。

債権回収に向けた様々なアクション

債権回収において、よく「法的手続きを開始」などというセリフを耳にします。法的手続きと一口にいっても、その方法は様々です。民事訴訟をはじめ、支払い督促、少額訴訟、あるいは公正証書による強制執行などの裁判所を介した手続き全般が含まれます。もちろん、直接連絡して催促する行為も債権回収です。ここでは、債権回収のための部署が存在するような規模の大きな企業ではなく、「債権回収なんて初めてでどうしたらいいかわからない」という中小企業の経営者や、個人事業主、または個人の方向けに、状況別にどんなアクションが考えられるのかを説明します。相手がこちらに対して返済を遅らせてしまったにもかかわらず「事前に何の連絡もなかった」などの場合、電何度電話しても出ない、メールを送っても返信が来ない、というケースでは、まず何をするべきでしょうか?

まずは内容証明郵便がセオリー

 

債権回収の第一歩と言えるでしょう。この内容証明郵便に法的な効果はありません。最近では、内容証明郵便が届いた程度では「あまり動揺しない」という債務者が増えています。一昔前は、内容証明郵便はそれなりに効果がありましたし、現在でも、初めて受け取る相手に対しては、「裁判の際に証拠となることに加え、次の法的手段の準備を進めることができる」「相手によってはプレッシャーによってすぐに支払う可能性がある」など、まだまだ一定の効果が期待できるのも確かです。実際に、いくら電話しても電話にでなかったり、出ても全く返済の約束すらしないなど、のらりくらりと開き直る様な態度を続ける債務者も、内容証明郵便を送ったとたんに返済が行われたという事例はたくさんあります。

内容証明郵便とはどんなものか

 

それでは「内容証明郵便」とはどんなもので、債権者にとってどんな意味があるのかを説明します。内容証明郵便とは、その名の通り、「内容を証明」する郵便物です。簡単にいうと郵便局が、その郵便物の内容を証明、つまり証人となってくれる訳です。通常、内容証明郵便は、愛艇に届いたかどうかを証明する「配達証明」付きで送るので、どんな内容の郵便物を相手にいつ届けたかを証明してくれるというオプション付の郵便物と言えます。債権回収の用途以外で有名なのはクリーングオフです。「内容証明でクーリングオフした」というセリフを聞いたことがある方もいるかも知れません。商品を買って相手が返金に応じてくれないので解約したいとき、クーリングオフが可能な期間が決まっていますので、書いた日付が証明されることはかなり重要になりますし、相手が悪意のある販売業者であれば「解約したいなんて聞いていないし、手紙も受け取ってない」と開き直るケースもあるので、そんな相手にはピッタリなのが、この「内容証明郵便」です。これを債権回収にも活用します。

内容証明郵便で消滅時効を中断する

 

債権回収にどう活用するのかというと、よくある用途としては、「消滅時効」の中断です。内容証明郵便にて「支払いの催促をした」という確かな証拠が存在するので、「一定期間催促がなければ債権が消滅する=返済しなくてもよい」という消滅時効を遅らせることができる訳です。「消滅時効」とは、文字通り、債権が消滅する時効のことで、民法では、金銭の債権を含めた権利に「消滅時効」というものが適用されます。理由としては、「長期間催促や請求もなかったのだから(権利が行使されていない)のであれば、その事実に沿った法的効果を認めるべき」「権利があっても行使しないのなら、法的にもその権利を保護するのは不要だ」という考え方と、「証拠の散逸」といって、「時間が経てば経つほど、その権利を示す証拠となる資料が失われていくので、立証が難しくなるから」という考え方です。消滅時効の期間はその債権の種類によって異なりますが、例えば、個人間での金銭の貸し借りにおける時効期間は「10年」となっています。また、時効にはこの「消滅時効」のほか、一定期間が経つと逆に権利が発生する「取得時効」というものもあります。

内容証明郵便の出し方

 

内容証明郵便はその「内容を証明してくれる」だけと述べましたが、第三者が読んでも共通の解釈ができるように、一定の書式やルールが規定されています。
必ず3通作成する

「受取人用」「自分の控え」「郵便局の保管用」の3者が所持できるように、内容証明郵便では「同じ文のものを3通」作成するルールになっています。パソコンのワープロソフトでタイピングして印刷したものを3通出すのもよいですし、もちろん、手書きで同じ文面を3通書いても構いません。縦書き、横書きも自由です。

用紙や筆記具も自由

 

多くの場合は原稿用紙に書きますが、普通紙やわら半紙、通常の手紙を書くための便せんでもOKです。筆記用具は、鉛筆(後から消すことが出来てしまうのでNG)でさえなければ、ボールペンや万年筆など、どれを用いるのも自由です。因みに内容証明用の用紙には、弁護士がよく利用する「赤枠の専用原稿用紙」もあります。
1枚あたりの文字数制限がある

内容証明郵便の書き方は基本的に自由ですが、文字数の制限はあります。例えば、「1行20文字以内でかつ、1枚に26行以内」などの細かい規定があり、横書きの場合も同様に「1行13字以内・1枚40行以内~」などと規定がされています。また、記号や英数字も使用できます。

タイトルをどうつけるかのルールもない

 

前述したようなルールはあるものの、基本的に内容証明郵便はあくまで「通常の手紙を証明するだけのオプションの様な役割」でしかないため、どんなタイトルをつけるかどうかも自由で、タイトルなしでもOKです。債権回収の場合には、お金を返してほしい旨を表す「貸金請求書」などとつけるのが一般的です。また、どんなタイトルを付けるべきか迷う場合には、幅広く使える「通知書」としておけばよいでしょう。その他、債権回収ではありませんが、いわゆる「ブラック企業勤務で会社をやめたくてもやめさせてくれない」などのケースでは、タイトルを「退職届」とし、これを内容証明で送るということもあります。

必要なもの

 

また、郵便局の窓口に行く際には、1、手紙(内容証明郵便として出すもの)×3通、2、封筒(受取人と差出人の住所氏名を記載したたもの)、3、差出人の印鑑、その他に郵便料金を持参します。

内容証明郵便の文例

 

例えば、タイトルが「貸金請求書」の場合、以下の様な文面が一般的です。「私は、あなたに対して、平成27年11月30日、金○○万円を、利息年1割、返済期日平成28年3月31日と定め、貸付しました。しかし、約束の返済期日後に返済請求をしたにもかかわらず、いまだに返済がされておりません。よって、本書面到達後14日以内に元金及び利息の合計金○○万円をお支払い頂くよう、ご請求いたします。もし、上記期間内にお支払いがない場合は、やむなく法的措置を取らせていただきます。」本文はこの様になります。これに加えて、差出人である自分の住所氏名、受取人の住所氏名を記載します。

手軽にできる2つの法的手段

 

中小企業の売掛債権の回収によく使われるのが、少額訴訟や支払督促です。これらは個人でも利用が可能で、弁護士に依頼せずに自分自身で手続きが出来ます。かかる費用も少額なので、覚えておくとよいでしょう。

少額訴訟とは

 

少額訴訟が利用できるのは、請求したい金額が60万円以下の場合のみです。法人の場合にはこの請求額が60万円を超えるケースも多いため、あまり活用の機会がない様に思われがちですが、小規模の会社や個人事業主であれば、たとえ60万円以下の金額であっても、経営にダメ―ジを与えてしまいます。原則として「1回の裁判で解決する」ことなど、通常の訴訟と比べて簡単に申立てができる点で人気です。注意点としては、相手が「少額訴訟ではなく通常の裁判を希望」した場合、「少額訴訟制度」は適用されず、通常の裁判へ移行する点です。あまり長引かせたくないなどの理由で少額訴訟を選択した場合には本末転倒となっていまいます。また、「1回の裁判で審理を終える」ということは、第1回の裁判までに証拠資料や証人などをすべて用意しなければならず、これは非常に手間のかかる作業です。通常、裁判というのは、複数回に分けて行われるものですが、少額訴訟というのは、それを一回で結審する「一発勝負」の裁判である点を忘れてはいけません。

支払督促とは

 

少額訴訟と似た制度で「支払督促」という制度があります。少額訴訟と違い、60万円以下という金額制限もありません。文字通り、支払督促制度は「支払をするように督促する」法的手続きです。裁判所を通じて行う制度であるからには、法的な効力があります。まず、裁判所から一方的に督促状を発行される点が特徴的です。相手方(債務者)は、異議がある場合は、異議申し立てをします。お金を貸した事実や売上代金が確かに存在する場合、(支払うかどうかは別として)請求そのものに争う余地のない場合に有効な手段です。もう一つ特徴的なのが、支払督促には証拠資料は必要としません。厳密には申立て時に何らかの添付資料が必要になりますが、通常の裁判ではないので証拠が本物かどうかの審理はされません。この「支払督促」を受け取った相手方は、受け取った日から2週間以内に「異議を申し立て」をしなければ、申立人は強制執行が可能(30日以内に仮執行宣言の申立てをしてから)となり、相手方の財産を差し押さえることができます。また、支払督促は、法廷に出向く必要がありません。すべて書類のやり取りのみで行われます。ただし、少額訴訟同様に、相手方が異議申し立てをした場合には「通常訴訟」へと移行するので、その場合は結審までは法廷へ出廷することになります。

通常訴訟へ移行する可能性を踏まえて注意すること

 

支払督促、総額訴訟ともに注意したいのが、通常訴訟へ移行した場合への備えについてです。特に「管轄の裁判所がどこになるか」については、よく確認しておくべきです。支払督促、少額訴訟ともに、管轄裁判所となるのは、「相手の所在地を管轄する簡易裁判所」です。そして、相手が異議申立をして通常訴訟へ移行した際も、同じエリアの地方裁判所で裁判が行われることになるのです。特に支払督促の場合は、書類のやり取りだけで進むという点がメリットでもありますが、相手の所在地が遠方であれば、通常訴訟となった場合に交通費の負担や長時間の移動のデメリットを受けるのはこちら側です。

支払督促と少額訴訟はどう使い分けるか

 

支払督促と少額訴訟はどの様にして使いわければよいのかという疑問がありますが、基本的な考え方として、相手が弁護士を立てて異議申し立てをしてくるなど、通常訴訟に移る可能性が高いのであればどちらも適していません。しかし、当たればラッキーなのは「支払督促」といえます。借用書やメールのやり取りなど、証拠に自信があり、相手も反論のしようがないという様なケースでは支払督促は一考の価値があります。これに対して少額訴訟を利用する意義についてですが、請求額が60万円以下であるという前提に加え、「通常の裁判と同じ意気込みで証拠資料も揃える準備もあり、証人を呼ぶ準備もあるが、1回で判決が出るというメリットを選択したい」という様なケースが適しているでしょう。
支払督促手続きの流れ

債権回収 – Wikipedia – ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/債権回収
債権回収(さいけんかいしゅう)とは、債権を回収すること。 金銭債権の回収方法[編集]. 口頭と文書で督促する。 弁護士、債権回収会社に依頼。 内容証明で … 言語. リンクを追加. 最終更新 2017年9月21日 (木) 12:23 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。 テキストはクリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンスの下で利用可能です。追加の条件が適用される場合があります。詳細は利用規約を参照してください。

 

ここでは、実際に支払督促の申立てを行う際の流れを説明します。

申立にかかる費用

 

【申立手数料】所定の手数料を、収入印紙を同封することによって納めます。手数料は請求する金額ごとに定めれられています。例えば、請求額100万円であれば手数料5,000円など。【債務者数分の支払督促正本送達費用】債務者1件あたり1,080円です。債務者が2人いれば2,160円です。その他、「支払い督促発付通知費用120円」、「申立書作成及び提出費用800円」がかかります。また、相手や自分が法人の場合、資格証明書(つまり法人登記事項証明書)が必要となり法務局で交付してもいます。その手数料が1通あたり600円で、これを債務者の人数分だけ必要となります。
申立書の作成と提出

まずは申立て書類の準備です。裁判所のホームページから様式(テンプレート)がダウンロードできます。提出先は「相手の住所を管轄する簡易裁判所」です。書き方に問題がなければ受理され、相手方へも裁判所を通じて「支払督促状」が送達されます。

異議申し立ての有無

 

相手方が支払督促状を受け取って2週間以内に異議申し立てをすれば、通常裁判に移行します。2週間以内に異議申し立てもなく、督促状を受けてすぐに支払があればよいですが、何の反応もなければ、強制執行をするための手続きが可能となります。

仮執行宣言手続き

 

「仮執行宣言手続き」は、最終的に「強制執行」をするために必要となります。「支払もなく異議申し立てもない」となれば、次に行なうアクションは「仮執行宣言手続き」です。仮執行宣言とは、「相手方は異議もなさそうなので、債権回収のために強制執行する権利を与えてください」という様なイメージです。これは、相手方に与えられた猶予期間である異議申し立て期間(支払督促状の送達から2週間以内)から、30日以内に行なわなければいけません。仮執行宣言手続きを申立てて裁判所が審査をし、問題がなければ、裁判所から「仮執行宣言付支払督促状」が相手方へ送付されます。ここでようやく法的な効力を持ちます。初回に申立てした支払督促と異なり、相手が異議の申し立てをしなかった結果、裁判所からも「お墨付き」を得たものが、「仮執行宣言付支払督促」です。

相手に与えられた2度目の異議申立期間

 

「仮執行宣言付支払督促」を受け取ってからも、「2週間以内に異議申し立てをすれば通常の裁判へ移行する」という選択肢だけは残されていますが、強制執行をする権利そのものは異議申し立て程度では消滅しません。この段階で相手方がこちらの強制執行を防ぐには、裁判所を通じた各種債務整理手続きを行うほかありません。

財産の差し押さえ

 

2度目の異議申し立て期間が過ぎると、仮執行宣言付支払督促状が、強制執行をする際に必要な「債務名義」となります。この段階でようやく債権回収としては半分が過ぎたといえるでしょう。「仮執行宣言付支払督促」は、通常裁判における「確定判決」と同等の強制力があります。

少額訴訟手続きの流れ

 

少額訴訟の流れも説明します。原則として1回の法廷で終わります。

訴状の作成と提出

 

まず訴状用紙を用意します。裁判所へ行き雛型を受け取ってもよいですが、裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。訴状を作成したら、被告の住所を管轄する簡易裁判所へ提出します。

裁判期日の決定と被告からの答弁書

 

裁判所が少額訴訟の訴状を受理すると、審査の後、被告へ通知します。このときに被告は、答弁書による回答も求められることになります。答弁書は訴訟を起こした原告側にも届きます。相手の反論が書かれています。

準備・事前聴集

 

少額訴訟は1回法廷で終わることを意図していますので、追加の証拠提出などが必要ない様に綿密な準備を行います。この準備期間には、裁判所から様々な証拠の提出を求められることがあります。また、場合によっては証人の出廷も求めることになります。

法廷での審理・判決

 

いざ本番の法廷です。長くても2時間ほどで終了し、審理の内容としては証拠調べがメインとなるケースが多いです。もちろん、この法廷で和解が成立することもあります。
債権回収のポイントは債務名義を取ること

ここまで説明した内容は、あくまで少額訴訟や支払督促などの「法的手続き」の手順に過ぎません。肝心なのは、これらの法的手続きによって、「判決文」や「仮執行宣言付支払督促」などの、強制執行が可能となる「債務名義」を取得することがゴールとなることを覚えておいてください。また、お金を借りている人も、これらを踏まえたうえで相手が法的手段に訴えた場合、どんな事が起きるのかをよく知っておくべきでしょう。

異議申立て – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/異議申立て
異議申立て(いぎもうしたて)は、日本の行政における不服申立て方法の一つである。処分をした行政庁(処分庁)または不作為に係る行政庁(不作為庁)に対して行なう不服申立てをいう。「再調査の請求」制度が導入された現在では特許庁に対する特許異議の …